富士山ゲストハウス掬水

[ 富士山とのつながり ]
築70年以上の廃業した旅館をゲストハウスとして再生する計画。敷地は静岡県の国指定特別天然記念物の湧玉池を境内にもつ富士宮浅間大社に隣接しています。池は富士山の雪解け水が溶岩の間を時間をかけて湧き出るもので、古くからの慣わしで富士登山者(富士道者)はここで身を清めてから登山をします。またこの地域は富士山の火山岩による地盤で構成されており、敷地内は起伏があるためそれらはところどころに表出し風景をつくっています。

[ 2つのフェーズでの改修計画]
富士宮のまちなかは商業エリアとして全盛期と比べ活気がなく空き店舗が増え、市民の新たな活動の集積をまちなかにつくることが必要とされています。また、そのような状況は様々な地方都市における課題ともされています。私達は富士宮のまちなかというエリアで起業する事業の持続性をサポートするため、初期リスクを抑えながらスタートを切り、運営しながら次の空間への投資を考える段階的な改修(大別して二期)の計画を提案しました。
敷地内には母屋と増築、改築を繰り返された既存建物5棟があり、延べ床で600㎡程度でした。第一期では施工範囲を抑えながらゲストハウスがスタートをきれ、この土地の歴史や素材、特徴を感じられる空間とするために、エントランスの位置を変更し、中庭を歩くアプローチとしました。外構は既存樹木を剪定し、砂利を撤去し土を見せました。古くなったインフラや設備の修繕交換を行い、ラウンジ、水の間、風呂棟、女性用サニタリールーム、客室7室、の全体面積の約半分の面積を改修しました。ラウンジ横には倉庫を取り壊し吹き抜け空間をつくりました。それによって湧玉池からの風が森に抜けていく流れをつくり、元の空間は湿気溜まりになっていましたが、パッシブな換気が可能になりました。また、その吹き抜けは湧玉池に浮かぶ水の間へ続くアプローチとなり、表出させたマテリアルを感じながら地形の断面を下る体験をつくっています。 ラウンジは南側に開口が設けられてはいたものの、自然光の流入が少ない空間でした。自然光をラウンジに届けるために、ラウンジに接する空間である吹き抜け、廊下、縁側に自然光を誘導し、明るい空間でラウンジをくるむように計画しました。
第二期ではさらなる新規事業の拠点、宿泊室の増加、テナント誘致などの成長の選択肢に対応できるように、敷地内の道路に近い部分を二期工事の範囲として残しています。

[ 法規について ]
本計画においては特別天然記念物保護区内のため文化庁への確認が必要でした。また、事業主と建物オーナーはことなるため、賃貸借契約を締結する必要があり、文化庁の手続き、賃貸借契約、設計、企業内意思決定など、工程上複雑でした。また現行法に基づき旅館業法、消防法の適合については行政との協議を重ね許可を取得しました。また建築基準法上の確認は不要の範囲の計画であることを行政と協議した上で工事着手をしました。

事業主加和太建設

コンサルティング勝亦丸山建築計画

設計勝亦丸山建築計画

施工アトリエクラフト

撮影甲田和久

HP富士山ゲストハウス掬水

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