静岡県富士市の商店街にある, 築53年のRC4階建てのビルの改修です。この建物は飲食店舗や簡易宿泊などとして使われた後、数年間は放置され廃墟となっていました。そのため既存図もなく現状調査のためセルフで解体作業を行いながら現状図を起こしていきました。

本計画では、事業計画段階からプロジェクトに関わり、建物の使われ方や運営方法, 収支計画等をオーナーや関係者とと共に検討した後、設計を行いました。解体中にはアーティストによる展覧会企画なども行い、建築が再生されていく過程をまちに周知するようにイベントやワークショップも行いました。

ビルには1階にギャラリー、2階に飲食店、3,4階にオフィスが入り、屋上からは富士山が一望することができます。各階には場所ごとにバリエーションがある6つの小さなハコを配置し、本棚、ベンチ、収納、天窓のなどの機能を持たせました。それ以外の空間はオーナーが運営していく中でDIYや小規模の改修をしながら変化するを余白として扱います。また耐震補強には炭素繊維シートによる耐震補強工法を採用し、建築の耐震性能の強化を図りました。

内部の仕上げは既存RCの風合いを残しながら、アルミサッシの新設に伴い、補修箇所の隠蔽の意味も含め大きな木の額縁を設けました。既存仕上げが多い中でアイコニックな窓は空間を特徴づけ吉原の街並みをトリミングしてくれています。外部には建物の利用車や街の人が一息つけるベンチを設け、夜には通り照らします。

施主

富士山まちづくり

設計

勝亦丸山建築計画

担当

勝亦優祐 丸山裕貴

耐震診断

永田構造デザイン

施工

カーポス工作所

写真

干田正浩