CHILL CHAIR 吉祥寺店

所在地:東京都武蔵野市吉祥寺本町/主用途:理容室/床面積:32.3㎡/竣工:2017年3月

プロジェクト名

東京・吉祥寺駅から程近い中道通りに面する男性専門の理容室「チルチェア 吉祥寺店」。オーナーは「大人のストリートヘアスタイル」というコンセプトで店舗展開しており、吉祥寺店では設計当初にストリートバスケットやスケートボードに関する空間イメージが語られた。設計するに当たって、理容室として必要な「清潔さ」を持ちつつ、ストリートを感じる「荒さ」の対比的な関係が混ざり合う空間を意識した。

室内は既存の床材を剥がした状態を仕上げとし、その床と連続するように壁やレジカウンター周りを左官で仕上げて空間の地をつくり、コントラストを成すように家具を挿入する手法を採った。

10坪程度の小さな空間で席数を確保するため、バックヤードの面積を最小化する必要があった。通常バックヤードに収めるカラー剤などのストック類から、タオルの蒸し器などをカットスペースに出し、それらを商品や展示のスニーカーと共に収納することで、カットスペースにゆとりを持たせた。収納棚はシナ合板とスチールを組み合わせ、扉の面材にはエキスパンドメタルを用いた。メッシュ状の素材が収納内部の混在した情報を抽象化し、全体で一つのディスプレイとなり、イスに座った際には鏡越しの背景に変容する。エキスパンドメタルはコンセプトのストリートとも符合する素材であり、「チルチェア」の空間を特徴づけている。

外部の立体的なデッキは、視線を誘導することや、前面道路への圧迫感を考慮しながら、通りになじむストリートファニチャーであり店のファサードを構成する要素となるように計画した。

設計
勝亦丸山建築計画
担当
勝亦優祐 丸山裕貴
施工
ジャムス
写真
千葉正人